米国株式市場は水曜日、まちまちの動きとなったが、S&P 500とナスダックは揃って史上最高値を記録。トランプ大統領が20%の輸入関税を含むベトナムとの貿易協定を発表したことが引き金となった。ADPレポートでは民間雇用が減少しており、労働市場への懸念が広がる中、製造業関連のセンチメントが改善。トレーダーは、今後の雇用統計が減速を示せばFRBが利下げに踏み切るとの期待を強めた。欧州市場は英国の政局不安を振り払い上昇して取引を終了。アジア株は中銀のスタンスとインフレ指標を睨みながらまちまちの展開となった。
主なポイント:
S&P 500はベトナム合意を好感し新高値を更新:S&P 500は0.47%上昇して6,227.42で取引を終了し、終値・日中ともに過去最高を記録。ナイキは関税上昇にもかかわらず、取引の透明性向上への期待から4%上昇。
ナスダックが新高値を記録:ナスダック総合は0.94%上昇し、20,393.13の史上最高値で取引を終えた。主に大型テクノロジー株が相場を牽引し、特にAppleはアナリストによる評価引き上げを受けて2%上昇。ナスダックは過去1週間で約4%上昇しており、同セクターの収益力への信頼は揺らいでいない。
ダウは横ばい、セクター間のローテーションが影響:ダウ平均は10.52ポイント(0.02%)安の44,484.42とほぼ変わらず。医療保険株の下落が重しとなり、ユナイテッドヘルスとCVSヘルスがそれぞれ5%以上、4%以上の下落。センティーンによる2025年ガイダンス撤回が背景。
英国の政局不安にもかかわらず欧州株は安定:政治的混乱に揺れた英国市場とは対照的に、欧州全体の株式市場は小幅ながら上昇。ストックス600は0.18%高の541.22、ロンドンFTSE100は0.12%安の8,774.69で引けた。福祉改革をめぐる与党内対立が原因で英国債利回りは上昇、10年物は4.611%に達した。フランスCAC40は約1%、ドイツDAXは欧州域内貿易協定への期待から0.5%上昇。イタリアFTSE MIBは0.57%、スペインIBEXも続伸。一方、ユーロスタットはユーロ圏の失業率が6.3%に上昇したと発表したが、スペインの失業率は2008年以来の最低水準まで低下しており、地域の経済状況はまちまち。
シンガポールが史上高値、日本は反落:アジア市場はFRB議長の発言とインフレ指標を材料に、まちまちの動き。シンガポールのST指数は0.45%高の4,008.85と最高値を更新。日経225は0.56%安の39,762.48、TOPIXも0.21%下落し、過熱感からの調整色が出た。韓国KOSPIはインフレ率の予想上振れで0.47%安。豪ASX200は0.66%、香港ハンセンは0.73%上昇。タイは首相の停職による政治不透明感で0.41%下落。
在庫増にもかかわらずイラン核問題で原油が上昇:イランがIAEAへの協力を制限する姿勢を示したことで地政学リスクが再燃し、原油価格は上昇。ブレント原油は2.67%高の68.90ドル、WTIは2.75%高の67.25ドルをつけた。一方、米在庫は予想外に380万バレル増加し、ガソリン需要の鈍化で上昇幅は限定的となった。
ADP雇用統計がFRB見通しに影響:ADPは6月の民間雇用が33,000人減少したと発表、10万人増加予想を大きく下回り、2023年3月以来のマイナス成長となった。木曜の雇用統計では非農業部門の雇用者数が11万人増と予想されているが、下振れリスクが意識されている。弱い結果が確認されれば、7月のFOMCでの利下げ観測が強まる見通し。
労働市場への懸念がある中で米債利回りは上昇:10年米国債利回りは3ベーシスポイント上昇し4.283%、30年債は4.809%、2年債は3.787%まで上昇。ADPの弱い結果にもかかわらず、インフレと貿易政策を巡る警戒感が利回りを押し上げた。トランプの税制・支出法案が上院を通過し、下院審議を控えている点も市場の注目材料。
本日の外国為替市場:

EUR/USDは高値圏を維持:EUR/USDは1.1801で取引を終了。1.1746〜1.1809のレンジで推移し、0.04%下落。ローソク足は主要抵抗線での迷いを示唆しているが、5月中旬から続く上昇チャネル内にあり、強気構造を維持。50日SMA(1.1412)、100日SMA(1.1322)、200日SMA(1.0866)を上回っており、1.1810の突破が次のターゲット。調整があれば1.1750が下値支持となる見通し。
GBP/USDは急落して調整局面入り:GBP/USDは1.3634で取引を終了。1.3752の高値から急落し0.81%下落。1.3750付近のレジスタンスが壁となり、利益確定の売りが優勢に。50日SMA(1.3460)、100日SMA(1.3183)、200日SMA(1.2948)を上回る強気構造は維持されており、下値の支持は1.3550と1.3400、上値の目安は1.3700。
EUR/GBPが0.8600を突破し堅調に推移:EUR/GBPは0.8655で取引を終了し、0.8600の節目を明確に上抜け0.83%上昇。0.8584〜0.8669のレンジで推移し、50日SMA(0.8475)、100日SMA(0.8440)、200日SMA(0.8388)がサポート。次の上値ターゲットは0.8700〜0.8750。
USD/CADは続落、1.3550を視野に:USD/CADは1.3588で取引終了、0.41%の下落。下降トレンドが継続しており、50日SMA(1.3770)、100日SMA(1.3991)、200日SMA(1.4033)を大きく下回る。1.3550が直近サポート、割り込めば1.3450が次のターゲット。1.3700の回復失敗がチャートの弱さを強調しており、1.3800超えがなければ戻り売り優勢。
ゴールドが$3,300超を維持し、上値トライ継続:ゴールドは$3,359で取引終了し、日中レンジは$3,327〜$3,359、0.61%上昇。日足チャートは3月以来の上昇基調を再確認。価格は50日SMA($3,321)を上回り、100日・200日SMAを大きく上回る水準にある。地政学リスクとFRBの緩和スタンス期待が支えとなっており、$3,400へのトライが視野に。調整時のサポートは$3,321と$3,250付近。
経済指標と貿易関連ニュースが交錯したセッションを経て、市場は堅調なトーンで取引を終えた。投資家は、ベトナムとの貿易交渉の進展に対する楽観と、民間部門の雇用減少に対する懸念の間でバランスを模索していた。S&P 500とナスダックが最高値を更新したことは、経済成長への信頼を示す一方で、ダウは特定セクターからの圧力によって伸び悩んだ。原油価格の上昇と英国の政局不安が、グローバル市場に不確実性をもたらしている。今後の焦点は木曜日に発表される非農業部門雇用者数であり、この結果は今月後半の連邦準備制度理事会(FRB)による金利判断において重要な材料となる可能性が高い。




